2011年1月25日火曜日

第6回 消費者安全専門調査会の開催

第6回 消費者安全専門調査会の開催について

第6回 消費者安全専門調査会の開催についてを以下の要領により開催します。
日時2011年2月1日(火)14:00~
場所山王パークタワー 6階 大会議室1(東京都千代田区永田町2-11-1)
議題前回までの議論の整理
事故情報の分析について(第5回から引き続き) 等

傍聴の申し込みについて

傍聴希望申込書に氏名、会社・所属名、連絡先をご記入の上、1月28日(金)11:00までに消費者委員会事務局へFAXでお送りください
消費者委員会事務局FAX番号:03-3507-9989
議題が「前回までの議論の整理・事故情報の分析について(第5回から引き続き) 等」とありますので、「第5回 消費者安全専門調査会 議事録」を紹介します。


第5回 消費者安全専門調査会 議事録

日時

2010年12月8日(水)10:00~12:00

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】

宇賀座長、中川座長代理、阿南委員、大前委員、片山委員、齋藤委員、佐竹委員、田澤委員、鶴岡委員、中尾委員、中嶋委員、中村(均)委員、西村委員、橋本委員、松岡委員、横矢委員、吉岡委員

【消費者委員会委員】

中村(雅)委員長代理、佐野委員

【説明者】

消費者庁 福嶋長官、野村消費者安全課長

【事務局】

消費者委員会 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

  1. 開会
  2. 前回までの議論の整理
  3. 言語処理による情報検索の実演
  4. 事故情報の分析について(第4回から引き続き)
  5. その他
  6. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

  1. 議事次第 (PDF形式:8KB)
  2. 【資料1-1】 事故情報の収集・一元化に関する前回までの議論の整理 (PDF形式:124KB)
  3. 【資料1-2】 事故情報の分析に関する前回までの議論の整理 (PDF形式:86KB)
  4. 【資料2】 連想検索による有用な失敗シナリオの抽出とそのシナリオの自分の設計解への展開
  5. 【資料3-1】 生命・身体被害に係る消費者事故情報の収集、分析、再発防止について (PDF形式:37KB)
  6. 【資料3-2】 身の回りの製品などによる事故対策の強化 (PDF形式:36KB)
  7. 【参考資料1】 事故情報分析タスクフォースについて (PDF形式:421KB)
  8. 【参考資料2】 遊具、本棚に起因する重大事故等の情報提供について (PDF形式:584B)
  9. 【参考資料3】 事故調査機関の在り方に関する検討会について (PDF形式:12KB)

≪1.開会≫

○原事務局長

おはようございます。時間になりましたので始めさせていただきたいと思います。朝早くからお集まりいただき、ありがとうございます。

 ただいまから「消費者委員会消費者安全専門調査会」の第5回の会合を開催いたします。

 本日は専門委員の赤松委員、杉山委員、中村(晶)委員が御欠席となっております。ちょっと遅れておられる委員もいらっしゃいますけれども、始めたいと思います。

 それでは、宇賀座長、どうぞよろしくお願いいたします。

○宇賀座長

 本日は消費者委員会の事務局から原事務局長のほか齋藤審議官、消費者庁からも野村消費者安全課長に御出席をいただいております。

 なお、本日の会議につきましては公開で行います。議事録についても後日公開することといたします。

 では、議事に入る前に事務局から配付資料の確認をお願いします。

○原事務局長

 配付資料は議事次第と書かれている紙の裏面に配付資料一覧が書いておりますけれども、資料1につきましては専門調査会でこれまで事故情報の収集・一元化に関する御議論、分析に関する第1回目の御議論をお願いしておりますけれども、その議論の整理をしたものをお付けしております。

 資料2ですが、今日もこういう変則の座席の位置を組ませていただいておりますけれども、中尾委員から今日、シナリオを使って御説明をいただくということで、その関連の資料をお付けしております。

 資料3につきましては分析の論点に関わる資料ということで、消費者庁に御準備をいただいた資料です。

 参考資料はその関連の資料ということでお付けさせていただいております。

 資料一覧はこのようになっておりますけれども、不足がございましたら審議の途中でお申し出いただければと思います。  以上です。よろしくお願いいたします。

○宇賀座長

 それでは、議事次第2の前回までの議論の整理について、資料1-1「事故情報の収集・一元化に関する前回までの議論の整理」、資料1-2「事故情報の分析に関する前回までの議論の整理」に基づいて、事務局より御説明をいただきたいと思います。

≪2.前回までの議論の整理≫

○齋藤審議官

 事務局の齋藤でございます。よろしくお願いします。

 それでは、資料1-1をごらんいただきたいと思います。これは事故情報の収集に関する前回までの議論の整理ということでお示ししておるものでございますけれども、前回の専門調査会におきましては、事故情報の分析ということがテーマでございましたが、これに関連する御報告ということで、自動車リコール制度に関する建議が消費者委員会から出されたということもありまして、その内容についての御議論をいただきました。大変活発な御議論をいただいたわけでございますけれども、その内容を先にごらんいただきたいと思いますが、7ページでございますけれども、項目を立てておりまして、自動車リコール制度に関する消費者委員会の建議についてということで、これに関連いたしましてさまざま御意見いただきましたが、大ざっぱにまとめさせていただきましたけれども、右肩に並べております。

 最初のポツと3つ目のポツは似通ったところでございますけれども、なるべくその情報を生で公表する、生で伝えるということが、利用するメーカーの対応あるいはそれを見て消費者が対応するという意味で、そういうやり方がよろしいのではないかという御意見がございました。

 2つ目のポツでございますけれども、不具合を早期に発見するという観点が重要ではないかということであります。今の消費者庁の情報収集制度は事故情報の収集ということでありますが、不具合情報の収集ということもよく考える必要があるという御指摘がございました。

 4つ目のポツでございます。5つ目のポツも同様の趣旨かと思いますけれども、情報をどう使うか、あるいは何のために使うかということをしっかり理解していないと、それが人の手を経ていくうちに、あるいは編集の過程で重要な部分が抜け落ちてしまう、あるいは的確な対応ができないという問題があるという御指摘がございました。

 最後のポツでございますが、今回は自動車のリコール制度を対象にいたしまして建議をしたものでございますけれども、考えてみますと自動車はリコールする製品の中では一番追いかけやすい。ナンバープレートもあるし車検もあるということですので、いろいろ不十分なことはあるにしても、できる限りいいモデルになってほしいという観点からとらえることも必要ではないかという御指摘がございました。

 あと、この問題に関連して収集関連ということで、幾つかこの資料の中に整理しております。例えば5ページでございますが「(2)情報分析からみた情報収集のあり方の見直し」の最後のポツでございますけれども、リコールの場合は国交省でございましたが、メーカーから所管の役所に集まってくる詳細な情報を消費者庁などに出してもらうということがないと、なかなか的確な判断ができないという御指摘がございました。

 6ページの中ほどでございますが、(4)の見出しの上のところでございますけれども、事故情報データバンクにつきまして消費者庁が運営しておりますが、今9つの機関としか接続、情報提供を受けていないということで、これは更に広げていく必要があるのではないかという御指摘がございました。

 7ページはその他ということで整理しておりますけれども、製品のリスクをどこまで許容するかという項目に関連いたしまして、紙で手を切っても紙に危険表示はしないということで、社会の常識をどのようにとらえていくかという観点も重要ではないかという御指摘がございました。

 以上が資料1-1でございます。

 続きまして資料1-2でございますけれども、こちらは事故情報の分析に関する前回までの議論の整理でございます。

 1ページ目に書いてございますのは分析体制に関するものということで、括弧して消費者庁と書いてございます。消費者庁の体制に関するものとして整理したものでございます。下の方の青字で書いておりますところでございますが、誤使用かどうかの判断について理科系の方ばかりではなく、いろんな方がいて判断することが大事ではないかという御指摘がございました。

 消費者庁の体制について今後の課題、現状何ができるか何ができないか、そういったことを今後どのように強化していくのかといったことを、絵を示すべきではないか。また、その絵の中でタスクフォースがどのように関係していくのかも示すべきという御指摘がございました。この関連ではこの後、消費者庁から関係して御説明があるものと思います。

 解析・分析の仕組みが見える工夫が必要であるという御指摘もありましたし、メーカーに考え方を聞くという意味での質問状を出して、その答えを公表していくというやり方もあるのではないかという御提案もございました。

 2ページは分析体制に関するものということで、こちらは地方自治体ということで整理したものでございますが、他のテスト機関、国民生活センター、NITE、地方の商品テスト機関といったものが行ったテスト結果の情報をデータベース化するなり、利用しやすい形にして有効に活用することも必要ではないかという御指摘がございました。

 3ページ、分析内容あるいはその対象に関する意見ということで整理したものでございます。これも中ほど以降が前回の調査会で出された意見でございます。分析のテーマをどう選ぶかということに関連いたしまして、4つほど御意見がございました。

 1つは何を取り出して何を分析するか、どういうふうに選ぶか、大きなところが抜けないようにしっかり議論すべきであるという御指摘であります。

 1件あるいは2件と数は少なくても大きな問題を含んでいるものは、早く見つけて対策をとるべきであるという御指摘がございました。

 家庭内の事故、例えば窒息や溺死といったものでございますけれども、そういうものもしっかり本来取り組むべきではないかという御指摘でございます。

 その次も同様の御指摘かと思いますが、浴室や階段といった家庭内の事故にも目を向ける必要があるのではないか。更に具体的に配線器具、コンセントといった問題を取り上げるべきではないかという御指摘もございました。

 国民生活センターが事故情報以外のデータも使って、自らのイニシアチブで分析を始めている。こういうことを消費者庁もやるべきではないかという御指摘でございました。そういう意味で消費者庁がどのように分析をしているのかということが、消費者に伝わる工夫もしてほしいという御指摘がございました。

 最後の2つのポツでございますが、分析における消費者目線ということに関連いたしまして、他の省庁が調査をしているものについても、消費者庁が消費者目線でチェックするべきであるという御指摘、それから、消費者庁の持つべき目線と他の省庁が持っている目線は違うという御指摘もございました。大体そんなところであったかと思います。

 以上でございます。

○宇賀座長

 ありがとうございました。資料1-1と資料1-2につきましては、もし御自身の意見が必ずしも適切に反映されていないということがございましたら、事務局の方に言っていただいて、次回までに加筆修正をしたいと思います。

 なお、本日は事故情報の分析について議論を行う場でございますが、中尾委員より情報検索の実演を行う関係で、通常と座席の配置を変えております。私の方から名前が見えにくい委員の方もおられますので、恐れ入りますけれども、御発言の際はお名前をおっしゃってから御発言いただきますようにお願いいたします。

 いかがでしょうか。もし今の段階で資料1-1と資料1-2について御意見がありましたら、若干の時間をとります。

○齋藤委員

 前回指摘しました資料1-1の4ページ目2ポツのISO関係の箇所について。「安全対策がとられないのに、警告表示で、ここは危険とか、取扱説明書でこう使ってはだめだと書いて逃げてはいけないと規格で決めてある」という記述は、このまま読むと誤解を招くということでフォローの説明をしていただきました。その説明はきちんと議事録に反映されていたと思うのですが、この部分に反映されていないように思いますので、修正していただきたいと思います。

 このまま読みますと、例えば立てかけて使うはしごを横にして用いたら、歪んだり折れたりするというケースが全部該当することになります。そうではないはずですので修正していただきたいと思います。前回の議事録にはその趣旨が書かれております。

○原事務局長

 修正いたします。申し訳ありません。

○宇賀座長

 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。先ほど申しましたように、もし後でゆっくり読んでいただいて、この点をもう少しこういうふうに書いてほしいということがありましたら、事務局の方にお伝えいただければと思います。

 それでは、議事次第3、中尾委員より言語処理による情報検索の実演をいただきまして、それを踏まえて議論を行いたいと思います。

 では、中尾委員より実演をお願いいたします。

≪3.言語処理による情報検索の実演≫

○中尾委員

 中尾です。実演に先立って私がこういうものを使ったという例をお示しして、これは理系の人がそういうデータベースを使ったらどうだという話だったので、皆さんにはちんぷんかんぷんのことかもしれませんけれども、こんなもんなんだというのでさっと流して見ていただきたいと思います。

 キーワード検索というのは皆さんもやって、グーグルのときでも自分のやりたいことの言葉を入れていくというのがあると思います。キーワード検索でやっていくんですけれども、具体的な言葉がヒットしないとなかなかうまくいかないんです。

 キーワードのAND検索、1つでやって1,000件出てきたら困るというので、2個入れて3個入れて絞っていくという方法は一般的にやられている方法です。だけれども、連想検索というのがあります。この連想検索というのは思いつくままに言葉を入れてOR検索をしましょうねというものです。OR検索の意味を言いますけれども、どういうものかというと、文章の言葉をばらばらと全部切ってしまいます。何行書いても切って助詞とか助動詞なんかは流し取って、必要な漢字のところを持ってきてたくさんキーワードを自動的につくってしまう。それでデータベースがあるかどうか。

 データベースもこの中に入っているのはPDFとか写真ではなくて、言葉それぞれもばらばらにして、ある1番のデータはこの言葉が3個、この言葉は2個、この言葉は6個とか何とか言って大きく調べていくんです。次のときはこの言葉が何個、この言葉が何個とか言って、こんな感じで1,000万件あったら1,000万件の言葉をばらばらにして、言葉も1,000万個あったら1,000万個ばらばらにしたものがこうやっていて、それが何が入っていたか。ほとんどがゼロなんですけれども、そういうものをあらかじめつくっておくんです。それでここにあったものとこの中で一個一個内積計算というのをやっていくんですけれども、そうすると類似度というものが出てきます。それで一番大きい類似度がどれか。これだけ見たらやるのにえらい時間がかかるだろうと言うんですが、コンピュータはだんだん早くなってきたので2~3秒とかそのくらいでできてしまいます。

 マシン自体をつくったのは西田さんだとか高野さんがつくっているんですけれども、そもそもは日立さんがつくったもので、この考え方自体は英語なんかはたくさんそういうものが出ています。日本語のものを日立さんがつくって、フリーソフトになっていたので、これを使ってやってみよう。

 私がやりたかったのは、JSTという科学技術振興事業団が失敗知識データベースというものをつくりました。今グーグルで失敗知識とやっていただくと一番先頭に出てくると思います。これが1,500件ぐらいは入っていたんだと思うんですが、データに機械、材料、化学、土木など、いわゆる工学部の中に入っている古今東西の大体の失敗事項の例をがばっと入れたんです。入れてやっていくんですけれども、まだこれがなかなかキーワード検索でうまく行き当たらないことがあったから、このときにこいつを入れてやれば、自分が今、困っているものに行き当たるのではないか。

 もう一つのデータベースは私が『失敗百選』という本を2006年、5年前に書いたんですけれども、この500ページの本全文を入れて、そこにあったシナリオの中のどれが一番近いんだろうかということをやってみました。

 例えば機械学会の90人の人に、こういうふうにして検索すればいいんだという研修会をやって、自分の仕事上で感じたリスクを入れてくださいとお願いしました。それを使って連想検索で一番近いのがどれかを検索しましょう。事故発生事例だとかいろいろ書いてもらったんですけれども、実際によく使うのは原因だけなんです。どうしてそうなるかというと事象でやっていくと、これなんかは旋回アームですけれども、例えば何々製の旋回アームだとか、事故が起きたときに何々県何々市と入れると固有名詞に引っ張られることがあります。固有名詞で当たると、これはよっぽど近いことが起きたんだろうということで引っ張られてしまうことがありますので、固有名詞が余り入らないような原因を使ってやると、非常にうまくいく気がします。

 ここのところにカット&ペーストで先ほど出てきたものをそのまま入れて、これでぽんと押すと失敗知識データベースの1,300件ぐらいあったものの中の、類似度の高いところの事例から順番に出してきます。これをクリックしたらそのものが出てくるということをやっていきます。

 ほかにウィキペディアとか新聞、今日はできているのかどうかわからないけれども、この前「毎日新聞」が消えてしまったとか言っていましたが、『朝日新聞』の10年間分の新聞も買うことができますので、これもがばがばとやるから、どこかに近い事例がないかというのもすぐに出すことができます。これを2~3秒で計算してしまいます。

 例えばシュレッダーに幼児の指が挟まれたというのをだらだら書いて、一番近いものは何かというと雪かき機に高齢者の腕が挟まれたといったときに、どうして挟まれたのか。詰まったものを除去しようとしたとか、カバーの脇から指を突っ込んだとか、モーターを止めずに動いたとか、そんなような言葉が近いものをいっぱい出してくると、雪かき機のところでこうなる。雪かき機は今はカバーをもう少し付けるのと、停止センサーを設置して、例えばここのところの黄色いやつが、これを手を離して前に来ると自動的にエンジンが切れるように設計されているんです。そういう停止センサーをうまく使えることがないかなどということが、これに使えないかということが設計でわかるわけであります。

 横風が吹いたときにひっくり返ってしまうというのがあります。例えば花巻空港で飛行機が昔ウインドシアで着陸時に墜落したので、このデータをそのまま新聞から取ってきたものをぼんと入力すると、一番近いものは何かというと新潟港でクレーンが強風で落下したことがある。やはり風で来て横に来て暴走してすっ転んだというのをやってみると、これが一番近い。現象的にも一番近くなってきます。今はどうしているんだというとドップラーレーダーを使って、強風がそこに吹いてくるんだというやつを、全部風の動きをレーダーでやっていくことができますので、レーザーでやることもできるんです。そういうものをたくさん今、売っていますので、こういうものを1億円ぐらいでやると半径30kmぐらいのものが全部わかるようになりますので、勿論飛行場には全部付いています。だけれども、飛行場以外のところにも付けようということで、国土交通省なんかは日本国中にこういうものを付けてしまえばいいのではないかと言って、今、設置を始めようとしているところなんです。そうなってくると強風がここに吹くぞというのがわかるから、ストッパーを付けて風が来ないように、暴走しないように置いておくということをやれば、クレーンなんかも防ぐことができるわけです。

 だけれども、検索者が似ていると思ったらシナリオが違うようなものもあります。例えばパロマの湯沸かし器を入れたら、1番に出てくるのはパナソニックの石油暖房機なんです。これはシナリオがちょっと違います。こちらはメンテナンス員が安全装置を不正改造してしまったんです。だけれども、こちらはゴムパイプが割れてオゾン劣化して、それで失敗してしまったんです。全く違うものが何で一番似ていると出てきたのかというと、とにかくリコールという言葉が多かったりとか、一酸化炭素中毒というのがたくさん付いていると、言葉が何箇所も出てきてこの言葉とこの言葉が近くて、一酸化炭素中毒がばかばか出てくると、これは近いんだ、すごい強い意味を持っているんだというのをチェックしますので、そういうものをやっていくとこれとこれが近いということになります。だから、それはコンピュータはそういう何回も書いてある言葉に引きずられてしまいますし、先ほどの固有名詞に引きずられてしまいますので、これは開いてみてから違うというのを人間が判断しないと、間違ったものが出てきてしまいます。

 これは検索者は絶対に似ていないと言っていたんですけれども、シナリオとしては同じなんです。例えばリレースイッチをオフにしたら電流が流れてきているんですけれども、リレーのスイッチがオフになってきて行き先がなくなってしまうんです。そうすると押せ押せで電流が来るものですので違うところ、逆電圧と言うんですが、物すごく高い2~3倍の電圧がすぐ出てきてしまって、半導体回路に流れていってしまい半導体が壊れてしまう。これは電気の設計者だったら普通に感じることで、そういうときには違う素子を使ってうまくアースの方に流してしまうというのがあります。

 機械のエンジニアはこれと同じことは水なんです。水も押せ押せで来たのに水力ポンプのところでもう発電しなくていいということで遮断すると、押せ押せで来た水が急に止められて、急に止まらないので圧力が物すごく高く出てきます。そのときにはバッファータンクや安全弁設置をするようなことをします。よくダムなんかには上の方に向かって縦穴をつくってやると、クジラが潮吹くみたいにずっと上まで来ます。どのくらい来るかというとダムの位置より高く上がることもあります。こういうものがありますので、これはウォーターハンマーと言うんですけれども、これとこれは流れているものを止めたらそういうことが起きます。

 人間の動きでも同じです。電車なんかで降りようとしたときにドアの前の人が大きい鞄を持っていたら、それに引っかかったら全部が倒れてしまいます。それと同じように何かで動いている人たちを急に止めると、そこのところで圧力が発生する。そのときにはほかに逃げる場所をつくらなければいけないでしょうという、シナリオは同じなんだけれども、電気と水は絶対に違いますと言われると、こういう逃がす方法とかそういうものを使えないことになります。

 最初に類似解が見つからなかったようなものもありました。例えばハイブリッドカーのベアリングに電流が流れて腐食したというのが今、結構問題になっているんですけれども、これと同じものを探そうというのがあったんですが、そもそもそのようなデータが余りにもまれなことだったのかなかったんですけれども、それでも探して探したら、地下鉄の丸ノ内線の第3レールから電流が漏れてベアリングが腐食したというのがあったので、この例を使うと絶縁体の改良をどうすればいいのかというデータベースがいっぱいありましたので、それをやると同じようにハイブリッドカーも直せるということがあります。

 あれやこれやそういうものをやってみると、参加者が最類似事例を探せましたと言ってきたのが82%の人だったんですけれども、私が見てそうだねと、先ほどのパロマさんのものがあるんですが、たくさんの言葉に引きずられてしまってノイジーな事例だったものを外すと62%ぐらいの人が探せたことになります。

 探すのもいろいろ人によって違ってくるんですけれども、何が一番効いてくるのかとやったらたくさん書くことなんです。学生なんていうのは入れるのがうまいので、大体事例数としては80%ぐらいを見つけることができます。これはコンピュータが自動的にやるものなので、言葉が少ないとヒットするのが少なくなってきます。24行以下しか書けなかった人もいました。例えばスペースシャトルのコロンビア号が自分がやった中で一番のリスクだと思う、こんなものが上から落ちてきたらたまらないというのでやったんですけれども、技術士の先生は歳をとっていると余りコンピュータは使いたくないし、やはりタイプを打つのが遅いんです。だから1時間待って入れてくださいと言ったらたったの136語しか入れなかった人もいます。たったこれだけになってくると、やはり当たる確率というか類似例に行く確率がすごく低くなってきます。

 キーワード検索と比べてどういうことが起きたのかというと、やはり同じようにキーワード検索でもやってもらいました。キーワード検索でやると39%の人が出していきました。これが大体一般的なキーワード検索でやるというものです。キーワード検索でもとれたでしょうというこれは、どちらかと言うとマイナーなシナリオで、先ほどのハイブリッドの摩耗は滅多に起きそうもないけれども、あれば電流によってベアリングが摩耗しましたというのが一発で出てくるんです。

 連想検索のところでうまく探せましたというのはメジャーなシナリオなんです。例えば1,136件の中から火災と書いてある言葉は352件もあるんです。爆発、配管、検査、腐食、溶接、疲労とか、こういうメジャーな事例で136件とか352件がどんと出てきてしまうと、どれが一番近いのか全部開いてみなければいけないんです。そういうときにトップ10のところを見ればいいということになると、読んでみて一番近いというので、近寄ったものがたくさんあったときにどれがその中でも一番近いのか、そういうものを見るときには連想検索は非常に効果的だということがわかりました。

 『失敗百選』という本でやってみたときも、41の事例の中のどれが一番シナリオが近いんだろうとやってみると、最上段に見つけられた、これしかないというのはマイナーなシナリオなんです。滅多に起きない。トップ5を開けていったらあったというのはメジャーなシナリオで、トップ41の中に見つけられたという、どれかに引っかかっているだろうというのは結構ノイジーなシナリオの場合。だからノイジーなシナリオまでやっていくとこれは見つけたと言うのかということがあるから、大体63%ぐらいのものは見つけられた。先ほどと同じようにこれはキーワード検索でも見つけられるものなんです。それでメジャーなシナリオのものをやると、連想検索は見つけられることができるということです。

 これが41個のやつなんですけれども、私はエンジニアの失敗としていろいろ書いていきましたので、エンジニアのリスクの80%は繰り返すとわかったんですが、本に書いていなくてできなかった例えばヒューマンエラーとか管理トラブル、やっていったら人がうつになってしまったとか、そういうものは余り入れなかったので、もしそれがリスクだと思って入れられても、引っかからないということになったわけです。

 頻繁に起こるリスクというのは工学関係でやると疲労というのがあります。これは大阪のエキスポランドでひっくり返って女性の方が1人亡くなられたものなんですけれども、これも軸というか棒のところが疲労破壊したものです。疲労破壊というのは大きな力がかかる前に小さな力でこつこつやると、ぼきっと折れてしまうものです。

 これは屋根が腐食して名古屋の製鉄所が爆発した事例なんですけれども、これもあります。バランス不良というのは、風が吹いてきてクレーンが倒れるという事例はたくさんあります。特に土木工事なんかでクレーンを立てたときに風が吹いてくると、簡単に倒れてしまいます。こういうものはよくある事例で、ここから取っていくのは結構大変になってくるわけです。

 そんなのは起きるとは思わなかったけれども、意外と多かったのはトラッキングで、コンセントから燃えるというものです。今はパナソニック電工さんは脇のところにゴムを付けたり、プラグの歯のところに絶縁体のテープを付けたりして、ほこりのくずをばらまいてトラッキングしやすくした状態でも、火を噴いたりしないようなコンセントが出てきます。だけれども、古いものはそんなのは何もしていませんので、やはり燃える可能性があります。

 コミュニケーション不足の中で、特に非正社員と正社員に対するトラブルというのは今、工業界ではめちゃくちゃあります。これは社会的な問題で工場に勤めている人の正社員の数というのは大体半分を切っていますので、非正規社員の人がいつ自分たちがクビになるかわからないというので、いつも不安な状態にあってトラブルが起きるということがあります。こういうものがエンジニアの人もリスクだと感じるのがすごく多かったわけであります。

 分析の目的は何なのか。それを見つけたことは別に目的でも何でもないんです。エンジニアはそれを使って自分の設計を変えていかなければいけないんです。それが過去にあった歴史だとか情報を使う目的になるわけです。今の情報で将来のためによりよい設計解を求めたいというのが目的になるわけです。本当にそういうものもできるのかなと思って、学生たちに使わせています。例えばこういうスターリングエンジンというエンジンを4人1組で学生につくらせて、それで最後に回るまでやらせるというのをやっています。これが終わった後、自分たちの失敗でうまくそれを直して、安全と信頼性をうまくやって教材として売り出したらどうだろうかという課題を与えたわけです。そのときにどういうふうにすればいいのか。過去の設計解から求めなさい。

 例えばここに摩耗が起きます。その摩耗が起きては困るからというので、一番最初にお見せしたカムフォロアというのはこういうものなんですけれども、ここからいい事例がないかを探していくわけなんです。そうするとこういう事例が出てきて、ここをいかに硬くすればいいのかというものが出てくる。焼きを入れたりなんかするわけなんですけれども、そういうものをすると、どのぐらいの材料でどのぐらいの焼きを入れればこれが使えるんだということが、過去の事例から出てくるわけです。

 でもやってみると、事例をそのままぽんと付けておしまいという子が極めて多いんです。例えばエンジンをやっていたときにやけどをしてしまった。それだったら全面カバーをつけるしかないといって全面カバーをつける。そうすると始動できないんです。今の子どもたちはセルモーターでやったりとか、スキー場で全くエンジンがかからなかったとか、そういうことを何も感じたことがなくて、自動車はスイッチを入れた途端に動くというのをかたく信じているので、始動させるのがいかに大変かというのは誰もわかりません。耕運機なんかもひもを引っ張って一生懸命始動させるので、へとへとになってしまうわけなんですけれども、そういうものを全くやったことがないので、始動するのに大変だというのがない。

 これでは動かない、ではモーターを付けます。モーターを付けると始動するときはモーターが役になるけれども、動き出したらクラッチを切らなければいけないんです。このクラッチがあるんだが、これも付けなければいけない。こういうふうにやると1つを直したらイモ畑みたいに次から次へ地下茎があって、次々に解決しなければならないという感じで、結局最終的にいい設計解は出ない。結局自分の設計解、特殊解に入れてうまく使えましたとなった人は48%だったんです。

 こういう感じで学生がこういう検索システムを使ってやると、キーワード検索が3分の1ぐらいだったものが、また3分の1のメジャーのものをやるようにして62%ぐらいできるようになりました。今の学生さんなんかは小さいときからコンピュータを使ってやっていますので、カット&ペーストで入れるのも増えてくるので、この率が大体80~90ぐらいになっていきます。だけれども、そこでいっぱい事例を出してもそいつを自分の特殊解に落とし込めて、活用できる人というのは大体50%ぐらいだということがわかりました。大体これは東大生の学生でなくてもいろんな会社で同じような研修をしても、こんなような比率になっています。

 次に、どういうものが言われているか。これは連想検索の「想」というものがあるわけなんですけれども、情報学研究所に今アクセスをしています。今日の委員会のためにこれをオープンにしてもらいました。例えばここのところにぐちゃぐちゃと書いていけばいいんです。例えば「私は機械を使おうとしたら、どかんと音が鳴ってパイプが折れました。見たら疲労破壊で溶接部がぱっくり割れていました」と書くわけです。このときに何の言葉を使わなければいけないということは一切なく、「どかん」だろうが「ぱっくり」だろうが何でもいいから入れる。キーワードがこれでなくてはいけないと言うと必死こかなければいけないし、データの方もこの言葉を使わなければいけないと言うと、データベースをつくる方も嫌になってしまうわけです。だから何でもいいからこういうものを入れておいて検索をしましょう。

 今はこれで854件の中で出てきたときに、海洋油田プラットフォームの転覆というのが一番に出てきたんです。これを開いてみます。例えば海洋プラットフォームはノルウェーで、イギリスのアレキサンダーキーランド号というもので、結構有名な1980年の事例になっています。事例としては溶接するときに、ここの1個の部材なんですけれども、ハイドロフォンというセンサーを入れる溶接をするところを、きちんと溶接しなかったんです。今日の「てっぱん」で開先とか出ていたんですけれども、開先をきちんととらずに溶け込み量が少なくて、ここが割れてじゃぼじゃぼ水が入ってしまったんです。水が入ってこの辺が水だらけになってバランスが悪くなったら、全体の浮きみたいになっていたところが悪くなって傾いてしまったんです。こちら側の方にも水を入れればいいんだけれども、制御がうまく効かなくなって全体が転覆してしまった。風も大分吹いていたというのもあって、制御がなかなか追いつかなかったんです。

 今は風が吹いてきてもうまく制御するために、水を入れてバランスをとるというのを別個のタンクでやるような制御システムが出ているんですけれども、それを付けなければいけないということで大きく変わったのが、アレクサンダーキーランド号が一番最初の事例だったわけです。

 ウィキペディアでやれば、例えば『100事例でわかる機械部品の疲労破壊・破断面の見方』なんていうのが出てきて、こういうものを見てこの本は何なの、これを買えばいいというのがわかるわけです。これはウィキペディアではなくて本のやつですね。こちらにウィキペディアが出てきて、疲労とか言ったら一般的に何なのというのが出てくるわけです。そういうものが自由自在にこういうふうに出てきて、この辺を10個ぐらい開いていくと、これに必要な情報は何だったというのは大体たちどころにわかる。

 例えば2番目はバイオプラント培養槽のサンプリングノズル付け根の割れ。ここも同じで溶接してここから出たんだという話なんです。

 オーステナイト鋼はプラントでやったけれども、配管の溶接したところから脆化割れが起きてしまった。疲労してそこからぱきんと割れたんです。

 天井クレーンフックの疲労破壊。これはねじのところからぱきっと割れてしまったんです。

 こんなような感じで開いていって自分の事例とどれが一番近いかなと。近いのがなかったなと思ったら、先ほどの2行ぐらいだったものを思いつくままに自分のデータを入れていくと、OR検索にするようなものに一番近いもの、確度が高くなってくるんです。こういうような方法があります。そうするとキーワードするためにノーマライズした言葉を入れてくださいと、そんなことを言わなくたって今、自分が報告してきたここのところのもの、自分の言葉で書いてくれたものをここに入れればいい。だけれども、なるべく長く入れてね、たくさんいろんな言葉を使ってね、とにかくいっぱい入れてちょうだい、そうしたらたちどころにこの中の一番近い事例が出てきますよということが出てくるわけです。

 どういう事例があるのかというので、これが食品安全委員会の食品安全総合情報システムの食品安全関係情報検索をこの前中村さんから紹介していただいたんですけれども、これもなかなか根性があるやつなんですが、たくさんの事例から一番近いものを効率的に出すというものではないんです。これはデータをつくる人が偉いねというものです。例えば農薬ですごい使っているのはフルーツが何をやっているのかというのが、フルーツ、農薬でどういうものがあるのとやると、EUだとかにフルーツ農薬のこういうものがありました、委員会が公表しました。何がすごいのってこれを英語だろうがフランスだろうが中国から出たものを、データに落していくというのを一生懸命つくっているんです。これはデータづくりを各国のものを全部頑張っているというので確かにすごい。これをやるためにいろんな人がいるのではないか。先ほどの失敗知識データベースは会社でエンジニアをされていて、退職されたような方にお願いをしました。1つやって大体5~10万円ぐらい払って、それで普通のアナログデータをデジタルデータにする。たったこれだけじゃんと言うけれども、結構時間がかかるんです。こういうものがたくさんあるわけです。

 エンジニアが一番使うのは特許電子図書館というものです。これは大正11年以降の公報が御利用いただけます。そういう歴史的なものを出すことができます。そちら側はもともと大正11年は紙しかありませんが、平成5年ぐらいからは公開公報はみんなデジタルで入れていますので、デジタルから出すことができます。

 傘でこの前私はSENZという傘を買ったんですけれども、そういうものであるのかなと。それをやると平成5年からの事例でも1,000万件近くある。一覧を表示してみて非対称傘というものをやると、こういう傘になります。この傘はなかなか優れ物で、台風が来てもおちょこになりませんという傘なんです。そういう流体力学的なものを使っているというので、何でこんなものが私にも思いつかなかったのか。世界的にヒットしている傘なんです。悔しい思いをして、こういうものに特許が出ていることがわかったわけであります。

 これも傘、非対称というものを全文検索するんです。だからこのキーワードはめちゃくちゃいっぱい入れておいたら、それに対して出していく。だから、これ時点に傘が何個書いてあるか、非対称と何個書いてあるかというので、それに行きつかないと出てこない。それが問題なんです。最初私は強風と入れてみたら、これにはそういう効果は何も書いていなかったので、強風で行き着くことができなかったんです。だから非対称かなと思ってやったらこれになることができました。データベースの本文の方でやってくれたら、もっと近くなってくると思います。

 本文を使ってもどれが一番近いのかとやるようなのも、業者でそういうものをやるようにしているところもあります。そういうアプリを大体1年間で500万円ぐらいで買うと、アプリを買って一回一回使えるようになってくる。そういう契約もあるし1回幾ら1万円出しますよという使用料でやる、クラウドでやるような方法もあります。そんなような感じでこういうものが今、商売になっているんです。

 特許は自分の商品を出したときに先行しているメーカーから訴えられないためにも、最低限やっておかなければいけないことなので、これは商売になるんです。だけれども、今の消費者庁の事故情報だと余り商売になるような話はないから、QAの人が買って私はこれでやらなければいけないということにならないのかもしれないけれども、消費者庁がすごく怖くて、私の知っているところでちゃんとチェックしないで商品を売った人はだめだとか言えるようになれば、みんなこういうデータを買って、そのときに近いものがあるのかどうか、ちゃんとそういうものに対して防げるかどうかというのは、製品の中に設計解を入れておかないと後で怒られてしまうということになれば、最高にうまくいくようなデータになると思います。

 以上です。

○宇賀座長

 中尾委員、どうもありがとうございました。

 それでは、御質問や御意見のある方はお願いします。松岡委員、どうぞ。

○松岡委員

 具体的なことをお聞きしたいんですが、検索でもって探し出したパーセントのグラフがございますね。これはあらかじめこれが類似だということをやっておいて、それを見つけたということなんですか。これはどういうパーセントなんですか。

○中尾委員

 それぞれの人が自分のリスクだと思うものを入れたわけです。それで先ほどの装置に入れたら、これが一番類似解だと思いましたというものをプリントアウトしてもらって、それがその人の自己申告したものなんだけれども、それを私が全部調べてみて、明らかにシナリオが同じだったものは私が判断しても同じでした。

 それを判断して5つぐらい開いてみてください、それで一番近いものを最類似解としてプリントアウトしてねということを頼んだんですけれども、そういうふうにやれる人もたくさんいました。だけれども、先ほどのパロマの事例ではないですが、一酸化炭素中毒をやっているから同じだろうと言っているけれども、エンジニアのシナリオから見れば結果は同じかもしれないが、そこに至るまでの過程が違うから当然対策も違ってくるので、これは違う事例ではないかと思って、それを消していったわけです。

○松岡委員

 そうしますと追加ですが、マイナーなシナリオとメジャーなシナリオで分けていますね。これも先生の判断でということですか。

○中尾委員

 私の判断で、だから大体そんなのばかりやっていると、これはマイナーだ、滅多にないというものが出てきます。それはやはりマイナーだし、わかるのは先ほどの最適類似解、キーワード検索をしても1件しか出てこないとか、2件しか出てこないというものはマイナーなんです。火災だとか燃えるだとか油だとかやれば300件、400件出てきてしまうから、これはメジャーだというのは、キーワード検索をしたときに何件出てきたかを見ると大体わかります。

○松岡委員

 わかりにくかったんですが、キーワード検索とこれがありますね。マイナーなシナリオがキーワード検索なのは。

○中尾委員

 キーワード検索の場合はマイナーなものが多く、一番取りやすいんです。自分が持っているリスクもマイナーだし、相手もマイナーなものは一番当っているものを探すことはできるんだけれども、自分の持っているものがメジャーで相手もメジャーでいっぱいあったときは、余りに件数が多過ぎてどれが一番近いのか全然わからなくなってきます。先ほどの疲労破壊、溶接、海水がかかったとかいろんな条件があったときに、どれが一番近いんだというものを100件一個一個開いてやるなんていうと、物すごい手間がかかってしまって、この研修が大体3時間でやる研修だったんで、その時間内にそんなのできませんとなるんです。そのときに連想検索の場合は上から5件選んでいってと言うと、5件目にいいのが出てきたというのを探しやすかったということを言っているわけです。

○松岡委員

 わかりました。どうもありがとうございます。

○宇賀座長

 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員

 失敗知識データベースの場合ですと、早期の類似ケースの発見、早期の対策の発見といいますか、その辺にかなり役立ちそうだなという印象を受けたんですけれども、原因が未解明の場合、キーワードを設定して類似ケースを発見していくようなシステムというのは、構築の難しさみたいなものはどうですか。

○中尾委員

 今のものは未解明なものはありません。つくった大学の先生がうそでもいいからこういう理由があるんだと書いてあります。だけれども、対策がわからないものもあって、うそでもいいから対策を書こうと言ったんですが、例えば消費者庁の事例は多分問題は対策を何も書いていないんです。終始徹底させますなんていうのが対策かねというのは、そういうものは幾ら書いてもしようがないんですけれども、ここのところにボルトをもう一本付けましたとか、そういうものを書いてくれると設計している方もそうだったのかというのがわかって、役に立つと思います。だから探すまではこれを使って消費者庁もうまくいくと思うんですけれども、それで次に業者が何をやるんだというのは対策がないから難しいかもしれません。

○中嶋委員

 中嶋でございますけれども、そもそもこの場でこの検索システムを御紹介されているという趣旨は、消費者庁がつくる事故調査、事故情報を一般人が、消費者が検索をして対策を立てるとか、業者さんが検索をして対策を立てるという目的に使えるのではないかという御趣旨なんでしょうか。どう考えたらよろしいでしょうか。

○中尾委員

 その前に消費者庁が分析するためのツールとして使えるのではないか。件数が少ない、例えば会社で何かこの製品1つだけをつくっているときに、お客様の不具合情報が100件ぐらいだと課長は全部暗記しているんだと思うんです。それが1,000件になったり1万件になるととても無理ですね。それぐらいのところが今、消費者庁のレベルなんです。だけれども、誰も覚えていない。

 だからそのときにスキャンして見ると、これは前にあったというのが出てくる。例えばパロマの事例みたいな感じで、誤使用のところに入っているかもしれないけれども、これに近いものはあったのかなとずっと入れてみたら20件ぐらいあった。これだったら誤使用というわけではなくて、みんな失敗していることが起きるのかなということで、これは何か対策しなければいけないというのを見つけるツールとしていいのではないか。

○中嶋委員

 なるほど。それで、こういう検索というのは実際に民間企業で使われているのは苦情対応の部分、風評被害で、これは会社が数社ありまして、これはキーワード検索でその会社の風評被害は起こりそうかどうかというのを判断しているんですけれども、事故事例の場合にはどちらかというと、専門用語がきちんと入っていないとなかなかヒットしない。キーワード検索の場合にはどうしても専門用語的なもの、今朝の話ではないですけれども、先ほど言われた溶接の開先と言われたら、多分わかる人は機械の分野とか鉄の分野の人以外はわからなくて、どんなふうに考えても多分開先は一般の人には入ってこない言葉で、その辺の連想検索はどう考えたらいいんだろうと私は先ほどから考えていたんです。

○中尾委員

 今日ちょっとやればよかったかもしれなかったですが、よく見つける一番いい方法は先ほどウィキペディアがありましたね。ウィキペディアを開いたらそれを全文コピーして、もう一回先ほどのものを入れてしまうんです。そうするとその中に開先だとかいろんな溶接用語がありますから、そこでもう一回とってしまうと結構近いものが出てきます。だからウィキペディアを使いましょうと。

○中嶋委員

 でもウィキペディアにはキーワードがまた全部入っていて、あれもあれで引っ張れるようになっていますね。

○中尾委員

 それでそのウィキペディアを突っ込むと、それが類義語辞典になるんです。前に「溶接」というのを「熔接」にした人がいて、1件も出てこないのはおかしいとか言ってわめいていたんだけれども、ウィキペディアは「溶接」と「熔接」と2つくっ付いていて、それを入れてくださいと言ったら出てきたんです。

○中嶋委員

 なるほど。溶鉱炉も同じですね。

○中尾委員

 だからウィキペディアを使うと結構うまくいきます。

○中嶋委員

 そうですね。ありがとうございました。

○齋藤委員

 齋藤です。今、事故情報データバンクには2万件以上もたまっていますね。それで何ができるか、実験されたのでしょうか。

○中尾委員

 これからやるんです。

○齋藤委員

 もうデータもあるから、今の道具でかなりのことがすぐできそうな感じの説明でした。金もかからない気がするのですが、いかがでしょうか。

○野村消費者安全課長

 事故情報データバンクは先生の御整理で言いますところの連想検索ではなくて、キーワード検索、フリーワードで検索できるということで、グーグルとかヤフーのような形ではできるようになっていますけれども、そのデータベースの性質からして、いろいろ多義的な言葉で事故の状況が表現されているものが入っているデータベースなので、こういう御提案をちょうだいしているんだと理解しておりまして、どういうことがやれ得るかということは、今、調査研究をスタートしようかと考えているところです。

○中尾委員

 先週の自動車のリコールのときにわかるような言葉を一生懸命書き換えていましたね。だけれども、あれをやられるとつまらない事例がいっぱい出てきてしまうんです。消費者庁に上がるようなものは各消費生活センターの方がいっぱい入れたようなもので、言葉は一定ではないかもしれない。そういうような特徴があるんです。かなりされた人たち、自動車の関係で同じ知識を持った人が書けば一番うまくいくのかもしれないけれども、そうではなくて同じ製品でも違う言葉で書くような人たちがあった場合、そういうデータベースだから、連想検索の方が当りやすいのではないか。キーワード検索だとどうしてもいろんな言葉を使われると、なかなか当たらない。どうしても当らないんだとしたら先ほどのウィキペディアではないけれども、消費者庁類義語辞典というものをつくっておいて、この言葉はこんなもんだと。そいつを何でもいいから入れてしまう。入れると近いものが出てくるのではないかと思っています。

○齋藤委員

 私はこれを見ていまして、今までいろいろ議論がされていますが、並行してシミュレーションをやるのが良さそうだと感じています。こんなアクセスができる、こんな結果が出る、可能性がある、ということが少しでもわかればやってみる。いろいろディスカッションするよりその方が早い。そういう検討項目が結構ありそうです。実験でいい。お金もかからないようなので、1回今あるデータを基にやってみたらいかがでしょうか。2万件も事故情報があるのですから。

○中尾委員

 金がかからないということはないと思います。

○齋藤委員

 びっくりするような額にはならないのではないでしょうか。

○吉岡委員

 中毒情報センターの吉岡です。私は10年ぐらい前に、これに非常に似た、しかし、全く違うものをつくり上げました。それはどんなものかというと、新聞データベースというのがあり、化学物質による事件、事故の抽出というのは簡単にできます。、新聞に必ず載っている内容は、学校や病院、トイレと言った発生場所、瓶やポットと言った毒物の混入媒体、被害者人数、重症か軽傷かなどです。。起因物質も勿論、最終的にはわかります。事件というのは件数にすれば10倍もあると思うんですけれども、起因物質はたった120ほどしかないんです。そういうものはあっという間にある種の起因物質を入れれば検索ができるんです。

 私は「中毒くん」という名前を付けてソフトをつくり上げているんですけれども、こういうのは起因物質を事件が起こったごく早期にどんなものがあるか、ベテランの刑事がこれは痴漢よけスプレーがまかれたんだろうと感じるような条件検索をするためにつくったものなんです。ところが、今、話を聞いていますと、有用な失敗シナリオを抽出するというときに、最も大事なことは、中尾委員が言われたこの検索エンジンを用いれば、私がやったような努力検索用語の整理は全く不要で、単なる案件の抽出だけであればすばらしいものができるんです。

 ところが、一番大事なことは、そうして類似例を抽出したことを何のために生かすかということが一番大事なわけです。ということは、その元のデータベースに解決策であるとか対応策であるとか、そういうものを必ず入れるようにと言われていますが、それをつくり上げることが最も重要ということになるんです。それに対する労力というのは無茶苦茶かかるということです。そういうものがこんな形での失敗シナリオの抽出ということで、できるというふうに考えられたら非常に具合が悪くて、本当は物すごい労力とこれからの対応というのが必要なのではないかと思うんですけれども、その辺のところはどう考えられるんですか。

 「中毒くん」をつくったのは、起因物質がわからないような段階でもすぐぱっとわかるようにしたい。それは和歌山の毒カレー事件も同じなんですけれども、ああいうことが起これば、5日後に砒素事件であるというのがわかったというのは、そんなばかなことがあってはいけないので、こういうデータベースをつくろうとしているわけです。

 それは恐らく今の時点だったらもっと早い時点であちこちからいろんな意見が出て、それは砒素でしょうというような意見も確定分析が行われるまでに出てくるという状況になっていると思います。そういうことが目的でないような形でこの失敗事例だけを引き出すソフトができたということと、どういう形で対応しようとされているのか。これはむしろ消費者庁に聞くのが一番のポイントなのかもしれませんが、これは結構本当の対応をしようと思ったら大変なのではないかと思うんですけれども、いかがですか。

○宇賀座長

 中尾先生にお願いします。

○中尾委員

 おっしゃるとおりで、ジャンクイン、ジャンクアウトというのが私たちの業界で言われて、最初に入ったデータベースがジャンクだと出てくるデータもジャンクなんです。だから、対策が書いていないデータというのは後から何をしていいのかわからないというので困ったねという話になる。ただ、それに行く前の状態が消費者庁なんです。たくさんたまっているけれども、分析は大変なんです。似たような情報はいっぱいあるんだけれども、それをまだ分析できるような状況になっていないから、その前の段階でこういうのを使うというような感じだと思います。

 対策をどうしたらいいのかといっても、これの場合は製品をつくっているところ、商品をつくっているところはそんなに多くないから、例えばこういうのがあったときというので、パナソニックなどでベストプラクティスを出してくださいと消費者庁は命令できるんです。そうしたら、それなどは1つの対策でいいのではないかと。たくさんの相手でたくさんやるというと確かに大変なことになるけれども、つくっている製造メーカーというのはそんなに多くないから、そこにばらまいて、ちゃんと答え出してとやれば出るのではないかなとは思います。

○吉岡委員

 ありがとうございます。

○宇賀座長

 橋本委員、どうぞ。

○橋本委員

 先ほど消費者庁の分析で役に立つというようなお話で聞いたんですけれども、例えば相談員であるとか、相談を受けたときにこれは何か事故情報がヒットしないかとか、そういうときにもこの連想検索というのを使えばいいと考えるのと、もう一点は、消費者自身が例えば火災まではいかないんだけれども、これは何か不具合があるのではないか、でもどこに聞いていいかわからないというときに、消費者庁の事故情報にアクセスしたときもこの連想検索を使うといいと考えての御提案なのか、その辺をお聞きしたいんです。

○中尾委員

 将来的にはそのとおりです。今は消費者庁の分析員の人のツールで使えばいいと思っているけれども、それぞれの相談を受けた人とかその御本人が何かこれに近いのがあるのではないかと。例えばパロマの湯沸かし器などで、お母さんがこれと同じのが欲しいというデータがどこにあるのかわからない。それにあるのだとしたら、ああいうお母さんみたいなくやしい思いをしている人が必死こいて調べるでしょうね。そうしたら、なんだ、20件も同じのがあるのではないかと、もう一回調査してくれという、一番のいい証拠になるのであればなと思います。

○橋本委員

 それであれば、関連して。例えば今回の先生の場合はエンジニアという非常に狭い分野でした。先ほどの説明の中でも、エンジニアの人の発想の部分と、私が映画で見たような場面だなとかいう別の観点で出てきた検索結果とかもあるんですけれども、相談の現場にいますと、とにかく言語がわからない。こういうことが起きて、ああいうことが起きてというのを相談員がこういうことですか、ああいうことですかというふうに交通整理をしないとなかなか言葉自体が出てこないというのと、その人その人の言葉で、具体的には出てこないんですけれども、その人にとってはその地方の言葉なりそういう言葉で言っているんだけれども、一般的な言葉に置き換えてあげないとなかなか検索できないという場面もあるんですが、そういう場合、この連想検索というのは役に立つのでしょうか。

○中尾委員

 先ほどの言葉の場合は、ウィキペディアのどれかに入れたらというのと同じような感じで、例えば消費者庁さんがやっている中で、これとこれは似ているというようなものは出してくれば、それを類義語で突っ込めばいいんです。よく間違える類義語辞典とかというのを適当につくっておいて、だんだんみんながそこのところに入れていく。

 この方法は、例えばコピー機を直しているメンテナンス会社は、この機種でこうなったときにどれを取り替えればいいのかというのを知りたいから、自分たちでコンピュータを持っているんです。お客様のところへ行って、何か知らないけれども、うまく色が出ないといったときに、色が出ないで何機種何々とやったら、過去の人たちが直したデータが出てくるので、何がどうなっているかさっぱりわからないけれども、このセンサーを変えれば直るみたいだとやってみたら、直った終わりというのをやっているので、そのときに何を入れたらというのだけれども、いろんな言葉があるんです。それも類義語でこれとこれは同じねというものをある程度バックアップして、10個ぐらいの言葉ではないですか。そういうのをやっていけば使えるものが出てくるのではないかなと思います。

○橋本委員

 では、将来的にはキーワード検索よりも連想検索の方が事故情報に関しては使いやすい検索方法ではないかという御提案ということですか。

○中尾委員

 使っている人がそういうようなものをこうやったらうまくいくよというようなものをどんどん変えていけば、ヒットする確率は物すごく高くなってくる。

○橋本委員

 ありがとうございます。

○齋藤委員

 先ほどの実演を見ていますと、QCサークル大会の発表会を聞いているような印象を受けました。消費者庁にとっては、起きた現象をどう整理するかというのが第一だと思います。その対策まで組み合わせて、この原因でこうなっているに違いないというところまで分析すると、恐らく企業の営業秘密に係る部分がいろいろと出てくる。すると企業が情報を出さないというスタンスになりかねない。そういうシステムをつくり上げたら、一番利用するのは外国のアグレッシブな企業です。アクセスしてきて、自分たちで開発努力せずにいいものを作ろうとする。そうする者が一番競争力を持つことになるので、どこかで情報提供に歯止めがかかる気がします。

 であれば、消費者庁としては起こった現象の分析を工夫して、これに問題ありやなしやとか、前例ありなしとかというところからスタートするのがよい。どこまで深掘していけるかは、次のステップで議論する方が進みやすいという印象を受けました。

○中嶋委員

 中嶋ですけれども、こういう検索システムで出てきた結果をだれがどういうふうに評価して使うかということを想定してシステムはつくっていないと駄目だろうと思うんです。

 先ほど言ったのは、これは一般の消費者が使いますか。それとも相談員の人が使いますかとあるんですけれども、この中にも先生はちゃんと検索者は似ていると思ったけれども、失敗シナリオは違うという事例も示されていて、それはどういうことかというと、ある程度わかっている人でもシナリオが違っていることに気づかないことがあります。いわゆるデータというのは、ある程度のバックグラウンドを持った人が判定する、いわゆる評価能力がないと使いきれない部分がどうしても出てくる。そうすると、例えば相談員の方がこれを使おうとしたら、分野分野によってそれぞれの背景が違うから、すべてのものについて評価能力があるかというのは非常に疑わしい部分が出てくるだろうと。

 消費者庁の中で、例えば今度何人か雇用される人たちが使われる分には、ある程度評価能力が期待できるので大丈夫でしょうという部分はどうしても付いて回るのではないか。そうすると、こういうデータベースというか検索システムをある程度オープンにするときには、やはり使い方、評価能力の問題が付いて回るんだということをきちんと公表して教えた上でないと使えませんよと、出てきたものに疑義があったら、必ず問い合わせをしてくださいとかというシステムを付けておかないと、うまくは回らない。消費者庁の中では多分いいデータ検索システムにはなるかなとは思います。

 以上です。

○宇賀座長

 ほかはいかがでしょうか。

 どうぞ。

○中尾委員

 先ほどの前の質問なんですけれども、どんどんやってくるときつくなるのではないかと言うんだけれども、私のところに製造物責任法のもので、これは有罪かどうかだけれども、あれも免責があって、過去に知られているものがなければいいのか、あれば。要するに似たようなものを失敗していると有罪になる可能性があるので、それを無罪である証明というのはなかなか難しいけれども、一般的なこういうふうな事例を集めているところはないからそこまで言うのはきついのではないのかというのが幾つか出たりしました。

 だから、今までデータベースでそういう訴訟があったときに何かやる、そもそもそんなもののツールがなかったのだから、まずは役に立つのではないかなと思います。

 間違って出した場合は、すべてのマネジメントのシステムで言えることであって、検索システムが言葉の数だとかそういうのでやっているだけの話なので、どうやって検索しているのか見ると、いろんなちょんぼが出てくる。グーグルでも自分の会社が一番トップになろうとするために、何でもいいから自分の会社の名前を30回書いておくとか、必要商品を何の意味がないけれども、30回書くとかとやるとトップになるんです。マネジメントもそういうあほみたいなことがあるんです。そういうふうにしてグーグルのトップにするということをする業者もあるぐらいなんです。

 だから、頭がいい人が何かするといろんなことがあるから、それに追いついていかなければいけないんだけれども、パーフェクトなものはなかなか難しいと思います。

○宇賀座長

 中村委員、どうぞ。

○中村委員

 皆さん、やはり今日のデモを見て、消費者庁にもっと工夫して頑張ってもらいたいというメッセージを多分投げておられるんだと思うんです。

 先ほど食品安全委員会の「食品安全総合情報システム」というコーナーが紹介されましたが、あれを食品安全委員会に聞いてみましたら、国際機関だとか各国政府が公表しているような食品衛生に関する情報を英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、中国語、これだけのものをちゃんと翻訳してあそこに載せているという紹介だったんです。それができるスタッフを技術参与という形で食品安全委員会は採用しているんです。数名いらっしゃって、その人たちはもう毎日インターネットをのぞいてそういう文献を探して、それを翻訳して張り付けていく。2週間に200件ぐらいのものをどんどん載せておられる。すごいことをやっておられるんです。

 同じ内閣府にありながら、片や食品安全委員会はそこまで頑張っておられるので、そうは言っても食品安全委員会というのもできてから6年で、今年の4月からやっとホームページをリニューアルして今のシステムになった、たどり着いたと言っておられましたけれども、消費者庁は6年もかからずに早く追いつき追い越していただきたいということで、実情を御紹介しておきたいと思います。

 以上です。

○中尾委員

 1ついいですか。私は別のところで経済産業省の消費者に関する規則というか、JISとかISOとかいろんなものがあるんです。そういうのはどう思うかとかいろいろやるのでこの前インタビューを受けてやったんですけれども、日本の規格を見てみると、あれは日本の商品を海外に出すときにメイドインジャパンで余りひどいのを出すと恥ずかしいから、輸出するときにはせめてこのぐらいのレベルのものをつくりましょうという規則だったんです。NITEなども、そもそもの前身が生糸とかそういうのを出すときにひどいものを出すとメイドインジャパンの名折れになるからこのレベル。ということは、いろんな商品の最低レベルを示すものだったんです。

 ずっと今まで来ているから、日本の商品が割と品質上トップになってきたときに、それより低いものを日本に入れないでねというレベルになっていないんです。だから、攻守が交代してしまったんです。そういうのがあるので、この次は日本がこういう立派な失敗があるから、これにもちゃんとやることを考えたものでなければいけないと、ルールになっていなくても、消費者庁が何かサジェスチョンしたものはきちっと守ってねという商品でなかったらおかしいではないか。そういうことがわかっているのだから、もしそれで事故が起きた場合は、あなたは有罪だよと、過失でも何でも故意に近いのではないかというぐらいのものが言えるようなものになるようにしないといけないのではないのかな。

 法律をつくっていくのは大変ではないのかと言ったら、そういうようなレベルを決めていくというのに使えるのではないかなと思います。やってみてびっくりしたんですけれども、やはり日本は昔のままなんです。メイドインジャパンのためにつくった規格というのが多かったので、御報告。

○宇賀座長

 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○田澤委員

 田澤でございます。消費生活センターの相談員が事故情報にいろんな情報を入れているという割合が相当数あると思うんですけれども、センターの相談員というのは、相談者の方が自分の言葉で一義的にお話しなさることをより具体的に聞きとって、できるだけその製品なり事故の情報を簡潔に書くということを第一として入れているわけです。

 そういうものを先生はたくさんこの間見ていて、なかなかだと厳しい評価をなさっていたわけですけれども、やはり具体的にどんなふうにやれるのかということをそんなにお金がかからないことであればやっていただくと、もっとよりイメージがわきます。なぜならば、今お話ししているのは、対策だとか公開だとか大きな話になっていますけれども、私どもがここで一番当面の課題としてたくさん集まっている事故情報をどうするかということだと思うので、是非知りたいなと思うことと、具体的にPIO-NETの情報をごらんになった先生からしてみると、どんなお考えをお持ちかという、非常に大きな話から突然私が小さな話になってしまって申し訳ないんですけれども、非常に現実的な話だと思うんです。

○中尾委員

 今、私が検索システムに情報が何だかよくわからなくて絵を開きましたね。私も言葉に対して余り学習障害があって、図とか写真を見ないとよくわからないんです。だから、何も言葉で書く必要はないんだけれども、元のデータのところに写真を張り付けて置いてくれれば、言葉で検索してそこまで来たら写真を見るので、それでこれは違うねというのがわかる。写真にしてしまうのが一番いいんです。何でもいいから写真を入れておいてよと、それでぱかぱか開いたらこれは違うのではないかというのがわかるんです。

 失敗知識データベースをやったときも、写真は著作権があるので自分たちが撮った写真でなければこれに入れることはできないんです。だけれども、そういう元情報に近い方があるならば、おたくのものがどうだったのかデジカメで撮ってきてと頼んで、そのデジカメを持ってきてもらってこれを入れてしまえばいいわけなんです。

 それでそれを付けておいてくれれば、そうやってみたらこれは近いのかなと幾つかやったときに、写真だけ見てしまえば、これは違う、これはぴったしだとか、うちの製品にぴったし同じだったとか、そういうのがわかる。

○田澤委員

 そうすると、言葉というものだけではなくて、私ども相談の現場では、ではお手元にあるものを携帯でもデジカメでも撮っていいからまず送ってくださいとか、そういうものはありませんという方は図を書いてくださいというようなことを申し上げたりして、なぜならば、できるだけ早く情報を集めたいから、それを順々に丁寧にやるのはその後なんですけれども、やっていくというものをそのままあれば活用できるということでしょうか。

○中尾委員

 そうです。写真とか図を検索するのは、できないことはないけれども、なかなかうまくいかないんです。まず言葉で検索をするんだけれども、言葉をツールとして使うんだけれども、その後、深くやって、これが本当だったねというのを見るのは写真でやるとかとすればうまくいくのではないかと思います。

○田澤委員

 その辺はPIO-NETというものがあって、その中で例えばパロマということについてこんなことがあったというと、パロマだと事業者さんのお名前だとか、製品の名前だとか、今は言葉で検索して、PIO-NETで言うところのキーワードはルール化したものがあるんですけれども、それではなくて通常のいろいろな言葉、今、皆さんがおっしゃっているキーワードということで引いて、大体同じようなものがここにあったではないかとか、例えば長靴に水が入ってきているというのは、長靴とかレインブーツとかという言葉で検索して、事業者名が仮に書いていなかったとしても同じような事例があるというのでPIO-NET、はできるんですけれども、この事故情報データバンクの話は事故情報の分析というのはもっと深くやるという意味で言うと、2010年4月からのPIO-NETをごらんになって参考になるというか、使えるようなことはないのでしょうか。

○中尾委員

 あれも言葉がヒットしないとなかなか見つからないから、どこかで類義語が欲しいねというのがあるんです。長靴とレインブーツとか、これは同じことを言っているんだとかというような類義語があれば、そういう類義語辞典のところに突っ込んでおけば非常にうまくいく。

○田澤委員

 それが先ほどおっしゃった辞典ということ。わかりました。

 佐竹さん、どうでしょうか。

○佐竹委員

 今のお話に付随してですが、今、PIOの情報を消費者庁の分析に有効に使っていただくためにということで、相談員によっていろいろ入れる言葉が違うと思いますけれども、田澤委員がおっしゃたように、PIOの情報というのは直接相談件名、概要を入力するだけでなく、キーワードというのがあるのです。それぞれの相談の中でキーワードを当てはめていきます。そのキーワードの在り方については、消費者庁と国センが協議していただく必要があると思いますけれども、もう少しキーワードを詳細にして、どういう状況の情報のときにはこのキーワードとこのキーワードを入れるというふうに、広く詳しくしていただければある程度消費者庁の方で分析していただくときに同じような情報がキーワードでも挙がってくるのではないかなと思います。いかがでしょうか。

○中尾委員

 それもあるんだけれども、そのキーワードをやるのは結構大変でしょう。だから、キーワードを引いてどのキーワードを使っていいのかというだけで疲れてしまうから、そんなことをしなくて、そのまま被害者の人が言ってきたものをだーっと入れてしまえばいいじゃんというようなシステムなんです。

○中嶋委員

 中嶋ですけれども、前回か前々回に事故情報は生のままで報告できるようにしてくださいという意見がありましたでしょう。キーワードを入れなさいというのは生では入れないでくださいという意味なんです。本当は生のままで入れて、それを検索できるようになっていればみんなが使いやすくなる。これは多分一番有効利用できる方法は、類似の案件、事故がどれだけ起こっているかを瞬時に検索するときでしょう。

 例えばリコールということで言えば、民間会社の場合で考えますと、出荷した商品をA地区、B地区、C地区で同じ工場から出しますね。1つの地域から1件事故が出てきました。類似ケースを知りたいわけです。ほかに残っていないか。4件ぐらいあったらこれは大変だと言って、リコールの準備に入る、いわゆる回収の準備に入るとかで皆さん工夫してやっておられるわけです。

 これを消費者庁から見ると、どこかで事故が起きましたと言われて、類似検索、指導員の方が入られているものとかを探す。そのデータを全部引っ張ってみたら、全国で10件あったとなったら、リコールの準備に入れます。ですから、どういう対策をとるかの前に、そういうマスをとらえることができるので、それだけでも有効かなと。そのときにキーワードを入れなければいけないというシステムでない方がはるかに皆さんにとって使いやすいものになると思います。

○宇賀座長

 どうぞ。

○田澤委員

 田澤です。PIO-NET2010というのは、今、佐竹委員がおっしゃったようなキーワード方式だけではなくて、漢字項目ALLで、PIO-NETでいうキーワードと関係なく、長靴だったり靴だったり、言葉をぼんぼん入れて検索すればだーっと事例が出てくるようには確かになってはいます。

○中嶋委員

 そういうようにPIO-NETにも組み込もうと思ったら組み込めるではないですか。

○田澤委員

 そういうことですね。先ほどの橋本委員がおっしゃってくださったように、相談員が見ることができる。。

 ただ、相談員は専門的なことを分析しながら何をやるという話ではなく、自分が受けた相談をどう対応するか、それからどう事業者の方に対策を考えていただくかというところなので、少し違うかなと。

○中嶋委員

 私が言っている組み込むことができるというのは、組み込んで消費者庁だけが見る、もしくは特定の人だけが見ることができる。それもできますよということです。

○田澤委員

 わかりました。

○中尾委員

 ちょっとだけいいですか。このシステムは今やっていったんだけれども、早く索引するコツというのがあって、それは何かと言ったら、索引表みたいなのをつくっているんです。先ほど行列と言いましたけれども、PIO-NETでやったものを何か索引表でこの言葉を使っている、使っていないというものをどこかでチェックしているんです。そういう索引表をつくる人がいて、それで今、検索が早くいって、私がクリックしたらそのクリックしたのが元のデータのところに飛んでいっているだけなんです。見せてねと言っているだけなんです。

 だから、PIO-NETでやるんだとしたら、PIO-NETのものを100万件あると結構大変かもしれないけれども、そいつをまた分解して、この表のところに入れていくという作業が必要になってくるんです。これは結構手間。1万件くらいだったらいいかもしれない。でも、ウィキペディアは26万件を自動でやってしまっているから、やればできないことはないけれども、結構そういうのは別に消費者庁にそういうデータ処理官みたいなのがいて、その人がせっせやっていかないとうまくいかないということです。

○宇賀座長

 横矢委員、どうぞ。

○横矢委員

 今、いろいろお話を伺っていて、先生の資料を見せていただいて、すごくこれからが楽しみでわかりやすいなと思ったんですけれども、これから出てくるいろいろな意見を積み重ねることができれば、どんどんいいものになっていく可能性があるなと感じました。普通にこのままにしておくと、積み上げることが難しいいかもしれない。双方向性のものにしておいて、データをいろいろ見た方が、このデータをこういうふうに使ったとか、そういったことまで下に書き込めるようにすると、身内でないと無理かもしれませんけれども、1人の分析官が出すのではなくて、いろんな方向からの解決策もたまっていく。そこから分析官の方がこれはいいねと思ったものにはマークが付いているとか、まだ処理中とかわかるようなものができると、もっとよくなっていくのかなと感じました。

 もう一点お聞きしたいのは、サイトに新聞の情報が出ているんですけれども、これは著作権とかそういう問題があるんだと思うんですが、最新のものがすごく見たいんです。今、どんなことが起きたのかというのを一番早く知りたいんですが、そういったものが入れられる可能性があるのでしょうか?それから、本当は地方版が見たいんです。ちょっとした事故で何か起きましたというものとか、全国的なニュースにはならなくても、多分地方版に事故として出ているような、相談はされていないレベルの情報が大事だと思うのですが、それは入手しにくいものなんです。そういったものがこういうところに入ってくるとすごくうれしいんですが、そういう可能性はというのはどうなんでしょうか。

○中尾委員

 やればできるんだけれども、それをやったら新聞社の存在意義がなくなるのかなと。今は1年間分を後でどさっと売りますというような感じで、少し古新聞だったら売ってもおしくないというお考えを新聞社が持っていて、asahi.comのものをリアルタイムでそういうのを毎日やって、それで分析させてほしいと、OKと言えばそうなるかもしれないけれども、結構高い買い物になる。1年間分で多分50万ぐらいなんです。

○横矢委員

 それを消費者庁さんが買っていただくとしたら、物すごいことになるということですか。

○中尾委員

 古新聞は安いと思うんだけれどもね。

○横矢委員

 でも、古新聞ではなくて、一番最新のしかも地方版までも入れて欲しいんです。

○中尾委員

 それは高いと思うな。新聞そのものだものな。

○横矢委員

 わかりました。済みません。では、解決策とか、双方向性とか、積み上げていくとか、そういうことの可能性というのはあるのでしょうか。

○中尾委員

 先ほども言ったように、類義語をうまくやってきて、こういうふうにやると検索がうまくできますというのをみんなでつくっていけば。つくれるんです。先ほど言ったコピー機の会社だとか、建設機械のリース会社というのはみんなそういうふうにしてメンテナンスのオペレーターの方が自分たちの類義語をどんどんつくっていっているんです。それで引きやすいものを改造してつくっていきますから、使ううちにだんだん賢い機械になっていくと思います。

○横矢委員

 それが、多分一般の家庭の方とかでも、本当はうちでもこんなことがありましたというような、普段だと言えないけれども、ここだったら書けるかなみたいな情報も入っていったりするとますますいいのかなと思いました。

○中尾委員

 そうですね。

○中村(均)委員

 中村です。当たり前の話ですけれども、この情報も利用者によって使い方が異なってくるんだろうと考えます。相談者、消費者の方々が知りたいのは、自分のところで起こった事故あるいは不具合に対してどういうふうな対応をしてもらえるのか、どういうふうにやれば危険が防げるのかというようなところだろうし、相談員の方々はそういうふうな消費者の方々からの相談に対して適切な答えを出せるような情報が引き出せればいい。

 我々メーカーにとってみれば、先ほど中嶋委員が言われましたけれども、何件か起こったら大変な問題で、すぐ対策を打たなければいけない。そうすると、我々はそこから現場対応と情報をつかんですぐその商品の改善・改良に入らなければいけない。同じ最初に入ってくる情報も、使い方あるいは必要なものというのはそれぞれの立場によって変わってくるような気がするんです。だから、そこのところをうまく考えていかないと、全部を一気に網羅しようと思うのはどだい無理な話だろうと思います。具体的に言うと、我々は一メーカーですけれども、我々は全国にメンテナンス会社を持っていまして、そこから上がってくる不具合情報というのは毎日タイムリーに来ます。その中から異常なものは毎日会議をやって、おかしなことが何件か続いたら、それが最高に悪くなったときにどんな状態になるのかまですぐ試験します。

 それが本当にお客さんに迷惑がかかることであれば大至急対策をとる。最悪のときはリコールもやらなければいけないのですけれども、そんなことをやっているわけです。そういうふうな場合、消費者の方々にとって最初にお伝えしなければいけない消費者の方々が困られたことからお伝えしなければいけない情報は何なのか。

 相談センターの方々が消費者の方々から相談を受けたときにどんな御指示を出せば一番消費者の方々に安心していただけるのか。メーカーはそれを見てどういうふうな行動をとらなければいけないのか。消費者庁の方は、メーカーがきちっと動かないときに、行政としての指示みたいなものがその中で必要になってくることもあり得るのかなという気がしています。

○宇賀座長

 西村委員、どうぞ。

○西村委員

 西村です。大変興味深く伺いました。少し話がずれるかもしれませんが、よく学生の書いたレポートが何かからの引用だったとかといって、全文一致とか部分一致でそれを仕分けるソフトがあるとかということが、私は使ったことはありませんが、そんな話を思い出しながら聞いたんですが、消費者庁の事故情報データバンクは、何のためにつくったのかというところで、ユーザーオリエントに考えれば、消費者にいち早く事故情報を伝えること、あるいは消費者がどんな事故情報を確認したいか。例えば今ある商品を購入しようとしているときに、その購入商品が過去にどういう事故例があるかということを知りたいときに使う。私ならばそういう使い方をするわけです。

 つまり、事故情報データバンクは、勿論、消費者庁のホームページからアクセスできるわけですからだれでも国民がアクセスできる。どういう利用を現実にされているのかという。1つはフィードバックがなされているか、あれば聞きたいし、そのときにどうもアクセシビリティーとして、私も自分の事業の利用などで使いますけれども、例えば制汗スプレーなどと入れると出てこないんです。ところが、スプレーと入れるとスプレー缶の事故がばーっと出てくる中で何ページが引いていくと制汗スプレーの事故が出てくる。

 それは多分連想検索とか類義語で整備されるんだろうと思うんだけれども、これを消費者庁としてどういうデータバンクとしての利用を前提としてつくったのか。多分まだまだ今のところ消費者はお買い物をするときに事故情報データバンクにアクセスして購入をするかしないか意思決定するというような例は、まだほとんどないような気がするんですが、その辺はいかがでしょうか。

○野村消費者安全課長

 データバンクを整備する一番の理由になったのは、事故情報一元化を消費者庁でするということになりまして、その事故情報を1人消費者庁が抱え込むのではなくて、広く一般の方々も見られるようにという情報の透明性、情報の開示ということが強く求められた状況があったと思います。

 重大な事故情報に関しましては、定期的にプレスに公表するというようなこともやっておりますけれども、現在の社会でありますので、インターネットによる情報の開示というのが発信力という意味では一番強いだろうということで予算化をいたしまして、どなたでも自宅のパソコンからどういう事故情報が寄せられているのかというものを今は20,000件ぐらいございますけれども、1件1件全部見ていただけることができるような仕組みということでつくるというのが一番の課題というか、根拠づけだったと思います。

 ただ、私どもはつくるに当たりましては、開示のためのツールというだけではもったいないという考え方はありまして、検索機能、情報を解析するための道具としての機能を搭載するということを開発に当たっては2番目の理由といいますか、使う方法として情報解析のためのツール。例えば類似事案が多数発生していないかとか、そういうことを分析するためのツールということを2つ目の目的として入れてきたということであったかなと思います。

 2番目の方の目的であったというためであるかもしれませんけれども、情報解析機能というのは確かに余り強くないと思います。先ほどの例を挙げていただいたように、本当にいい情報がうまく解析できる形になっているかというと、まだまだ弱いのではないかと思いますし、それが今日の中尾先生のお話とも結びついているのかなと思います。

 あと、利用実態でありますけれども、一般の消費者の方々に利用されているんでしょうかという点は、アクセス件数は大体1日数百件~1,000件くらいありますけれども、月曜日から金曜日の日中に集中しておりまして、多くアクセスされておられる方々は、メーカーさんなどが自分のところのメーカー名で新着情報で入っていないかなというような使い方をされているのかなと思っております。

○西村委員

 西村です。簡単に済みません。

 ということは、これは基本的には消費者よりもメーカーに対しての情報開示ということが主に現実の運用としてはなっているということの理解でよろしいですか。

○野村消費者安全課長

 現状はそういうことだと思います。

○西村委員

 私の誤解かもしれないですが事故情報を知りたいというのは、商品を購入しようとする消費者が事故を回避しようとして、過去の事例を確認するとか、そちらにもあるのではないかという気がするのです。そのためには例えば事故情報データバンクという名称ももしかしたら変えた方がいいのかもしれないとか、そういうことも含めて消費者庁のHPに掲載されているということを考えたら、消費者サイドの話を検討する必要があるのではないか。。

 例えばプリウスがよく売れている。ところが、今度新たに日産のリーフというものが出て、4月まで納品ができないような人気商品だと言われている。ところが、買おうかと思ったときに、リーフのことを調べてみようかと思った人がそこにアクセスする。私はまだそこに直接はアクセスしていませんが、実際には試乗中の事故とか、それこそウィキペディアで見ていくといろいろ出てきます。そういう話をあらかじめ知った上で購入の意思決定をしていくのではないかなというのが私のイメージなんですが、違いますでしょうか。;

○野村消費者安全課長

 消費者庁に一元化される事故情報を広く国民の共有財産にするためにという取組みでありますので、それはメーカーがもっぱらアクセスしているという状況は改善されるべき状況ということだと思います。

 ただ、2つ方向性としてはあると思いますので、今、集まっている情報は事故情報、こういう事故がありましたという情報にすぎないものですから、こういう事故情報がありましたという情報を簡単な選択システムで、今、自分が購入しようとしている商品で、こんなことが過去に起こったことがあるんだということを情報として商品選択の際に利用していただくという注意情報として利用していただくという利用方法と、もう一つは、そういう事故があったときにどういう対策がとられたのかとか、そういう情報もくっ付いていて、危険回避のために情報を利用していただくということと、方法としては2つあるんだろうと思いますけれども、2つ目の方の方法を考えようとすると、データベースそのものの、今書き込まれている情報のこういう事故がありましたということだけでなくて、だからどうなったんだとか、だからどうすればいいのかまで情報が収集されて、そのデータベースの性質を変えないことにはそこまではできないかなと思われますけれども、そこが中期的な課題であるかどうかというのは先生方の御議論の中でも出ているお話かなと思ってお伺いしているところでありますけれども、今あるデータベースを前提にしてということでも比較的簡単に注意情報を引き出すということまではたどり着けるのかどうかというのが今日御議論いただいている主たるところなのかなと思ってお伺いしているところでありますが、いずれにいたしましても、御指摘を踏まえて改善を図っていかなければいけない課題だと思っています。

○中嶋委員

 中嶋ですけれども、今の西村先生からのお話なんですけれども、一般の消費者がどういう事故があるかと思ってこういうデータベースにアクセスしてくることというのはほとんどないと思うんです。もっと言えば、人間というのは、自分の身近に事故が起きてこない限り、事故に対して興味を持たない。例えば北海道で起きていて、特殊な事故を関西の人がこれは大変だと探して検索して、それを実感するかというと、そういうことは絶対ないと思うんです。自分の身の回りに起きているときには必ず事故に関しては大きな関心を持ちます。商品についても同じです。もっと言えば、事故情報を通じて商品を選択しようというふうに考えることはまずないのではないか。それは別の、いわゆるデータベースを利用して選択するわけですから、事故情報をどう使うかというのは、現在は、仕事に関係のある人が使っている。これが現状でしょう。言ってみたら、メーカーは絶対に仕事に関係があります。

 先ほどどの仕事に関連がありますから使いますと。では、それ以外の方はというと、それほどでもない。でも、その人たちが使いやすくなっていないと困る。消費者の安全は企業とそういう方々、いわゆる生活指導員の方々の努力でもって実現すると考えていけば、そんなに国民が使い勝手がいいようにと考える必要はないだろう。とりあえずは消費者、国民が安全に暮らせるようなシステムにすればいい。全員が検索できるではなくて、関係している人たちがちゃんと検索ができて使い勝手のいいものになっていればいいと思うんです。

○宇賀座長

 わかりました。よろしいですか。

○片山委員

 片山です。今の点ですけれども、少し考えの違うところがあります。中嶋先生がおっしゃるように、消費者は自分が事故に遭ったとき、あるいはヒヤリハットという状態に陥ったときには、同種の事故がないかというのを見たいという気持ちになりますね。そのときにこのデータベースを検索して、なるほど、こういう事故がある。そういう事故についてはちゃんと消費者庁で分析がなされて、メーカーも対応してやっているんだということがわかれば、では私の情報もちゃんと消費者庁に通知をしておこうということで情報の集積にもつながりますし、消費者に対する事故の未然防止にもなったり、事故被害の救済をちゃんと受けるという消費者の行動につながる。それも大事だと思うんです。

 そういう意味で、消費者自身の行動を引き出すためのデータベースであるということも1つの大きな役割だと思います。

○宇賀座長

 よろしいでしょうか。それでは、まだあるかもしれませんが、今日、実はもう一つ議題を予定しておりまして、議事次第の「4.事故情報の分析について」の議論がございます。今日議論している時間がなくなってしまいましたので、資料の説明だけ野村課長からお願いしたいと思います。

≪4.事故情報の分析について(第4回から引き続き)≫

○野村消費者安全課長

 事故情報の分析というテーマで前回いろいろ御指摘いただいた点を御説明させていただくために4種類の資料を用意させていただいてございます。

 まず、資料3-1、3-2とつづってあるものでありますけれども、事故情報の分析がどういうふうに行われているかの全体像をフローチャートで示したものでございます。事故情報の一元化は左の上の方にオレンジ色から矢印が出ておりますけれども、消費者安全法に基づきまして、行政機関、自治体から事故情報が入ってまいります。大体これは年間に2,500件ぐらいというオーダーであります。

 製造事業者、輸入事業者から重大製品事故に関しまして製品安全法という法律に基づきまして、事故情報が入っていきます。これが大体年間700~800件のオーダーで入ってまいります。

 今月からスタートしているところでありますが、国民生活センターとの共同事業で、医療機関から事故情報の御提供をいただくという事業をスタートしております。今般、13機関の医療機関に御協力いただきまして、事業として開始をしておりまして、大体月当たりに100件とか200件とかといったオーダーで入ってくるのであろうかなと思っているところであります。

 これら収集した事故情報に関しましては、重大なものに関しましては定期的に公表するということを左の方の黄色の矢印になりますが、またインターネット上、開示できるように事故情報データバンクに順次掲載をしていくということがなされております。

 そこから先は分析になりますけれども、収集いたしました事故情報を一定の基準で情報を解析すると、この事故は頻発している事故だとか、重大性におきまして特徴的な事故だとか、そういう情報を解析するスタッフを持っておりまして、特に注目されるような事故に関しましては、個別に原因究明を進めるというフローになっております。

 この原因究明を進めるに当たりましては、なかなか自前のスタッフが今抱えられていない状況でありまして、外部の有識者の方、事故情報分析タスクフォースと呼んでおりますけれども、いろんな関連の分野の専門家の方々に原因究明すべき事案の抽出や、専門機関による調査の実施、こういうことに関してどういう進め方をするのが適当であるかという助言、御指導をいただきながら原因究明を進めております。

 また、実際の調査実施に当たりましては専門機関へ、例えば国民生活センターでありますとか、NITEでありますとか、食品関係、医療関係、いろいろな独立行政法人あるいは大学などがありますけれども、そういったところに作業を依頼して、その結果をまたタスクフォースの方で御評価いただいて、その結果に基づいて判断をいたしまして、再発防止・未然防止策の実施に移していくというフローになっているわけでございます。

 その下に参考資料1という資料で「事故情報分析タスクフォースについて」という資料がございますが、やっておりますものを絵ときにしたのが1枚目にあります。2ページ目には現在、御協力いただいておりますメンバー表を付けさせていただいております。

 3~4枚目にかけまして、具体的に今どんなことをやっているかというのを書かせていただいてございますけれども、3枚目の「2.要注意事案の抽出」とございますけれども、どういう課題を取り上げるようにしているかということであります。4つほどの観点で見るようにしております。

 1つは重要性。被害の重大性でありますとか、事故の多発生。こういう事案の重要性というものを1つの軸に見てございます。

 もう一つには、必要性ということで、事故の再発・拡大可能性といったこと。あるいは事故の回避可能性。子どもさんとか高齢者で特に事故が起こっているといったようなところを勘案するという軸を立てております。

 もう一つには、実効性としてございますが、消費者庁として具体的に対策を講じるために必要かどうかということで、消費者安全法あるいは消費者庁設置法などの権限に基づきまして、すき間事案でありますとか、省庁横断的な事案、こういうものを中心に課題として取り上げるということをしてございます。

 また、以上のような抽出のほかに、4枚目になりますけれども、各事案を追跡確認いたしまして、対策がとられているとか、対策が検討中だというものと、対策をだれもとっていないという事案の仕分けをする作業をしておるんですけれども、対応がとられていない未進展の事案が目立つ分野に関しましては、特に重点的に取り上げるといった4つの軸で事案を抽出して、具体的な分析を進めるということをやってきているところであります。

 具体的な事案としましては、4枚目の(2)の具体的な事案として、マル1~マル10まで挙げてございますけれども、これらの課題につきまして現在タスクフォースの先生方にそれぞれ担当を決めていただきまして分析を進めているという状況であります。

 その具体の一個一個の課題の進捗状況は、更に1枚おめくりいただきまして、以降に別紙マル1~マル8と書かせていただいておりますが、ここは時間の関係で省略をさせていただきたいと思いますけれども、それぞれいろんな専門機関の方に外注いたしまして、分析結果を評価いただいて、今後の対応をとりまとめていくという作業をしてきているというところであります。

 その更に下、参考資料2という資料でありますけれども、これは分析を終えた後に、具体的に再発防止・未然防止のためにどんなことをしたのかのサンプルでありますけれども、1つつづりになっておりますけれども、2つのものがとじこんでありまして、1つ目は今年の春に行ったものですが、公園などに置いてありますブランコでありますとか、滑り台でありますとか、そうした遊具に起因する重大事故というのが結構件数があるということがわかってまいりまして、どういう事故がどういう部位で、例えばブランコの座席の部分でとか、複合遊具の滑り台の滑走部分でとか、具体的に現地調査をいたしまして、どういう事故が特に顕著な事故として起こっているかということの確認をいたしました上で、それらをチェックする。施設管理者において遊具の不備についてチェックする責務がありますけれども、どういうところをチェックするべきかというところを専門家の方々にお伺いいたしまして、チェック項目のとりまとめをいたしましたことと、更に不備があったときにどういうふうにすれば補修ができるか。なかなか自治体さんなども財政的なところでお困りのところもあって、事故がありますと丸々撤去してしまうというような事例もしばしばあるようでありますけれども、どういうふうにするとどのぐらいの経費でどの程度の補修ができるかというような内容をまとめまして、施設の遊具の管理者の方々に活用していただくというような形で再発防止につなげようというようなとりまとめを行ったというのが遊具の関係というものであります。

 つづってありますのでずっとページがなくて済みませんが、後ろの方の4枚目以降になりますけれども、これは本棚が転倒して子どもさんが挟まれて大けがをされてという事故がございまして、その転倒の防止策についてとりまとめたのが後ろの方であります。これは大学の研究機関に御協力をいただきまして、今どき棚と言ってもいろんなタイプの棚があるようでありますけれども、どういう棚というのが転倒しやすいから気をつけた方がいいのかということを分析、解析していただいたものであります。その分析結果というのは、参考資料2のつづりの一番最後のページになりますけれども、振動装置を使わせていただきまして、どういう棚というのは倒れやすいか、どういう状況のときに棚というのは倒れやすいかということを定量的に計測していただきまして、具体的な注意情報としましては、高さと幅の一定の対比以下の場合には不安定化するという内容を家具の事業者あるいは本屋の事業者さん、そういうところに情報として使っていただいて、一定の幅と高さの対比を下回るようなのっぽな棚に関しては、必ず留め具を用意していただくというような対策をお願いしたというのが今月の初めに発出したものであります。こんな形で再発防止のための取組みを進めているというところであります。

 あと、参考資料3「事故調査機関の在り方に関する検討会について」という資料をお配りさせていただいております。今、申させていただきましたように、実際の調査、原因究明というのが外部の方たちのお力をお借りしながら、1件1件処理をしているという状況でありまして、課題といいますか、非常に悩みのありますところは、1件1件が手づくりといいますか、御協力いただいている機関の御協力を取り付けて1件1件処理をしているという状況で、率直に言いまして非常にスピードが欠けているというところは課題としてあるのかと思っておりまして、そこはスタッフを増強するということは1つ課題として来年度に向けてやらんとしていることではありますけれども、もう少し中期的な課題として、恒常的に調査をする機関の必要性ということは、これはこれとして議論しているというのが参考資料3の検討会についてというものでございまして、これは年度内に考え方の整理をしまして、来年度以降、更にどういうことができるかという議論につなげていきたいということで進めているものであります。

 とりあえず資料の説明は以上でございます。

○宇賀座長

 ありがとうございました。今日はこれに関して議論している時間がなくなってしまいましたので、次回に議論したいと思います。

 それでは、次回の日程につきまして、事務局の方からお願いします。

 どうぞ。

○齋藤委員

 済みません。これは資料が間違っているのではないかと思うので確認したいのです。今の3-1のところです。

 要するに情報を集めて、こういう流れで措置していきますということを右側に向けて重点的に書いています。一方、左側の方に行くと公表と書かれているだけです。消安法などで、事業者が適切な措置をとらない場合には適切な行政措置が取られると思いますが、右側に重点を置いたために左側が抜けたのではないでしょうか。措置があるならば、右下のピンク色のところと同じようなものを書いておかないと、外部に出たときに誤解を招くと思うのですが、いかがでしょうか。

○野村消費者安全課長

 消費生活用製品安全法に基づく事業者に対する指導、場合によっては危害防止命令を発動するということを仰っておられるのかと思いますけれども、そこの部分は消費生活用製品安全法の重要な部分でありますけれども、権限としては経済産業大臣が持っておられますものですから、私どもの所掌の範囲で絵ときにしておりますので、消費生活用製品安全法の説明としては不十分なところがあるようでありましたら、申し訳ございませんけれども、所掌の範囲で絵ときにさせていただいたということでございます。

○齋藤委員

 余り縦割り行政ではなく。ここの書類は国民に向けて出る機会が多いと思うので、点線でも何でもよろしいから、必要であれば措置はする、ということが分かる方が誤解がないのではないでしょうか。

○野村消費者安全課長

 差し支えなければ、必要な修正なり検討させていただければと思います。

≪5.その他≫

○原事務局長

 今日は、中尾委員、準備をしていただきまして、大変ありがとうございました。興味深いお話を聞くことができました。

 次回ですけれども、年明けて2月になってしまいますが、2月1日の火曜日の14時から行う予定にしております。今日の論点、御議論いただきたかった分析について、今、御説明をいただきましたけれども、これの議論を深めさせていただけたらと思っております。

 3番目の大きな論点として、事故情報の公表とかの情報提供の在り方についても、かなり大変な議論になるのではないかと思っておりまして、その次をまた予定しておりますので、皆様方の年が明けてからの日程については、再度早い段階で調整をさせていただきたいと思っておりますので、どうぞ御協力をよろしくお願いいたします。

 2月21日にNITEの北関東支所、これは桐生にございますけれども、大きな燃焼実験ができる棟がありますので、そちらの見学を消費者委員会でも予定しておりますので、皆様方にも御案内をいたします。1日がかりですけれども、御参加いただける方はどうぞよろしくお願いいたします。

 事務局からは以上です。

○宇賀座長

 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

≪6.閉会≫

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